命の危機が迫る 激しい吹雪に襲われた男性

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2011年12月 スウェーデン・ウメオ

クリスマスシーズンの中、ちっとも楽しくない一人の男性がいた。
その男性の名は ペーテル・フィルバリィ(44)
自宅から10時間以上も離れたウメオに逃げるようにやってきた。

と、いうのも付き合っていた大好きな彼女にはフラれ、そそのかされて始めた事業にも失敗。
気が付けば多額の借金を抱えるはめに。

自分の人生に嫌気がさして逃げてきたのだ。

そしてやってきたのは人の気配のない雪深い森。

この森でしばらく暮らそうと考えた。ペーテルが持ってきたのは一週間分のインスタント食品とガスボンベ式のカセットコンロとスナック菓子。借金返済の督促電話がうるさいため携帯電話をそこら辺に捨てた。

緯度が高く北極圏に近いウメオでは冬場の夜が異常に長い。この時期の外は氷点下で社内の温度とほとんど変わらなかったがガソリン節約のためエンジンは切ったままで寝袋でなんとか夜をしのいだ。日が出ている間はなるべく外で過ごしストレスを溜めないようにしてきた。

一週間ほど経つと食料がなくなってしまった。この森から車でわずか5分ほどで街があり、明日買いに行こうとした。

しかし、逃げることに必死であまり後先のことを考えていなかったペーテル。まさかこの後、とんでもない悲劇が襲うことに・・・

この夜は異常に寒かった。強い寒波が押し寄せていたのだ。

外はマイナス17度。あまりの寒さに暖房をつけようとするが、エンジンがかからなかった。車内の温度はマイナス10度にも達していた。ペーテルは長い夜にじっと耐え、なんとか朝を迎えた。その朝は激しい吹雪だった。とはいえ、食料を手に入れなければならない。そして外に出たら、ホワイトアウト(雪や雲などで視界が白一色となり方向感覚がわからなくなる現象)状態。一歩進む度に体が雪に沈んでいく

ひとまず車に戻るしかなかった。

冷たい雪はペーテルの体力を奪い、皮膚は刺すように痛んだ。その次の日も吹雪はおさまらず、さらに激しい空腹がペーテルを襲った。為す術もなく時間だけが過ぎていく。ペーテルは乾いた喉を潤すため車に積もった雪を食べて水分を補っていた。

そんなペーテルの体に異変が起き始めていた。

無意識に体が大きく震える。これは偶発的低体温症といい

通常人間の脳や臓器周辺は36度~37度に保たれている。その温度を深部温度といい、35度以下になると運動機能や精神機能が大きく低下してしまう。その為、脳の体温調節中枢が働き、筋肉を自動的に動かし熱を作って深部温度を維持しようとする。これがいわゆる震えである。

しかし、深部温度が32度以下になると震えは止まり意識障害が始まる。さらに28度以下になると意識はなくなり死に至る可能性が一気に高まってくるのだ。

ペーテルの体の異常はこれだけではなかった。極度の寒さの中で指は凍傷が始まっていた。そしてペーテルの意識は朦朧(もうろう)としていく。しばらく経った頃には彼の体は震えすら起こらなくなっていた・・・

それからなんと約2か月後

たまたま近くを通りかかった住民が通報。駆けつけた警察官によりようやくペーテルは発見された。

そこには伸びたヒゲに痩せこけた頬のペーテルが横たわっていた。
時すでに遅しか・・・

なんとペーテルは生きていたのだ。何も食べず2か月近くも生きていた。

これは発見された車の実際の画像

食料もない車中で低体温症に陥っていたペーテル。だが、なぜ彼は2か月も生き延びられたのか。

救出された時ペーテルの深部温度は大きく低下していたと推測される。その際に心臓の拍動や呼吸数も低下。だが、その状態が生命維持に必要なエネルギーを最小限に抑えることにつながった。

さらに、最大の要因として考えられるのは車の中にいたことで雨風をしのげたこと。積もった雪がかまくらの様になり車内の温度を一定に保てたことが考えられる。まるでクマの冬眠のような状態がペーテルの身にも起きていたということなのか。

この生還劇は新聞などで大きく報じられた。

警察官に保護されたときは体重がなんと25キロも落ちていた。

病院に運ばれたペーテルはその後、無事に退院し新たな人生を歩み始めている。

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